「メタボリック」や「生活習慣病」という言葉は、最近では、子どもでも知っているくらい定着してきました。
でも、その内容については、よくわかっていないというのが現状です。
「メタボリック・シンドローム(症候群)」とは、内臓脂肪型肥満によって、いろんな病気にかかりやすくなっている状態をいいます。
「生活習慣病」とは、「糖尿病」「脳卒中」「心臓病」「高脂血症」「高血圧」「肥満」などの総称です。
これらの病気は、個別の原因で発症するのではなく、肥満、とくに内蔵脂肪型肥満が根本原因だと考えられています。
また、それは、毎日の良くない生活習慣の積み重ねから、そうなってしまうことから、「生活習慣病」と名付けられました。
日本人の死因の3分の2近くが、この生活習慣病で、年々その割合が増加傾向にあるということですから、無関心ではいられません。
では、その中で、特に最近、増加傾向にあるという「糖尿病」とは、どんな病気なのでしょうか?
一言で言うなら、「血糖値」が高くなる病気です。
私たちは、食べ物を消化吸収することで、活動エネルギーを作り出しています。
食べ物中の栄養素にはいろんな種類がありますが、その中の「炭水化物」「脂質」「たんぱく質」を『三大栄養素』といいます。
その中で、エネルギー源の中心となるのが「炭水化物」です。
炭水化物は、体内で消化・吸収されると、「ブドウ糖」となって肝臓へ送られます。
そして、脳や筋肉で利用され、残りのブドウ糖は肝臓内にグリコーゲンとして蓄えられます(余った分は脂肪になります)。
体が活動して血液中のブドウ糖を消費すると、グリコーゲンが分解され、再びブドウ糖となって血液中に放出されます。
このようにして、活動エネルギーが常に維持され、血糖値は一定の範囲内におさまっています。
「インスリン」は、すい臓で作られるホルモンで、体内の細胞が血液からブドウ糖を吸収する手助けをします。
つまり、インスリンはブドウ糖のメッセンジャーというわけですね。
ですから、そのインスリンが不足したり働きが悪くなったりして、ブドウ糖がうまく細胞に運ばれなくなると、筋肉や内臓がエネルギーを吸収できなくなります。
そして、血液中のブドウ糖濃度(血糖値)が高くなり、その状態が継続する病気が「糖尿病」です。
2009年6月アーカイブ
「糖尿病」には、いくつかのタイプがあります。
◆原因による分類
「1型糖尿病」「2型糖尿病」「遺伝子異常」「続発性糖尿病」「妊娠糖尿病」などです。
「1型糖尿病」は、すい臓のインスリンを作る細胞(β細胞)が壊れて、インスリンの量が絶対的に足りなくなって起こります。
子どもの頃に発症することが多く、かつては「小児糖尿病」とか、「インスリン依存型糖尿病」と呼ばれていました。
「2型糖尿病」は、食事・運動などの生活習慣から発症する場合が多く、わが国の糖尿病の95%以上はこのタイプです。
「インスリンの出る量が少なくなって起こるもの」と、「インスリンの働きが悪くなり、肝臓や筋肉などの細胞がブドウ糖をうまく吸収できなくなって起こるもの」があります。
「遺伝子異常」は、「糖尿病の遺伝子だけを優性遺伝するもの」が6種類、「ミトコンドリア遺伝子異常」「インスリン受容体異常症」などがあります。
「続発性糖尿病」とは、感染症・免疫の異常・肝臓やすい臓の病気など、他の病気が原因となって引き起こされるものや、薬そのものが原因となるものがあります。
「妊娠糖尿病」は、妊娠中に増加するホルモンの作用により、血糖値が異常になる症状をいいます。
一般的には、出産後に改善しますが、改善しない場合は胎児への影響があるため、注意が必要です。
◆程度による分類
「生存のためにインスリン治療が必要」…インスリンが絶対的に不足し、体外から補給が欠かせない状態。1型糖尿病のほとんどがこれに該当。
「高血糖改善のためにインスリン治療が必要」…インスリン治療が必須ではないが、血糖コントロールのために必要な状態。
「インスリン治療は不要」…食事療法・運動療法・投薬による治療で血糖コントロールが可能な状態。2型糖尿病の多くがこれに該当。
では、糖尿病の人はどれくらいいるのでしょうか?
2007年の調査データ(厚生労働省発表)では、日本国内の糖尿病の患者さんは約890万人でした。
そして、糖尿病予備群の人が約1320万人、合計すると全国に約2210万人いると推定されています。
これは1997年(10年前)に比べて、約1.3倍も増えたことになり、厚生労働省も増加ペースの加速に対して危機感を表明しています。
しかし、糖尿病で治療を受けている方は、50%程度しかいないのが現状です。
どうしてかというと、糖尿病は、初めのうちは痛みなどの自覚症状がありません。
それで、検査で「血糖値が高い」「治療が必要」と言われても、そのまま治療を受けない人が多いのです。
そして、糖尿病によって亡くなった人の数は、1年間で約1万9600人もいました。(2006年データ)
これには、糖尿病によって発症の度合いが高くなる心臓の病気や、脳血管系の病気などの死亡者数は含まれていません。
それと、糖尿病を治療せずに放っておくと、合併症が出てしまうので要注意です。
合併症とは、その病気が元になって起こる別の病気や症状のことで、糖尿病には次のような慢性合併症があります。
・糖尿病神経障害(手足のしびれや壊疽など)
・糖尿病性網膜症
・糖尿病腎症
・脳梗塞、脳卒中、心筋梗塞
・下肢閉塞性動脈硬化症
・皮膚病、感染症
糖尿病特有の合併症は、「糖尿病神経障害」「糖尿病網膜症」「糖尿病腎症」で、これらを「3大合併症」と呼びます。
この他、高血圧・高脂血症・腎臓病の人が糖尿病になると、それらの症状を悪化させてしまうということです。
「3大合併症」とは、「糖尿病神経障害」「糖尿病網膜症」「糖尿病腎症」のことをいいます。
糖尿病に特に多い合併症で、血糖コントロールや治療をしないままでいると、糖尿病を発症してから10~15年で発症する可能性があります。
「糖尿病神経障害」は、合併症の中でも、最も早く出てくる症状です。
末梢神経障害の手足の症状の出方は様々で、手足のしびれ、ケガやヤケドの痛みを感じにくいことなどがあります。
その他、筋肉の萎縮・筋力の低下・立ちくらみ・発汗異常・胃腸の不調・インポテンツなど、いろいろな自律神経障害の症状も出てきます。
「糖尿病網膜症」とは、眼底の網膜の血管の血流が悪くなって、虚血・血管の増殖・出血・網膜はく離などが起こり、視力が弱まることをいいます。
網膜症は少しずつ進行しますが、気をつけなければいけないのは、進行しても視力の低下などの自覚症状がないということです。
糖尿病自体も自覚症状の少ない病気なので、放置したままにしておくと、ある日突然、目が見えなくなった、目の前が真っ暗になったと病院に駆け込むことになります。
そして、「硝子体出血」や「網膜剥離」と診断され、さらに、失明してしまう場合や、白内障になる人も多いといわれています。
「糖尿病腎症」とは、尿を作る腎臓の「糸球体」という部分の毛細血管の血流が悪くなり、だんだんに尿が作れなってしまいます。
そうすると、機械で血液の不要成分をろ過する「人工透析」を行って、尿を作るようにします。
週に2~3回、病院などで透析を受けるため、日常生活への負担や影響が大きくなります。
現在、人工透析をすることになる原因の第1位が、この「糖尿病腎症」だということです。
では、糖尿病にかかりやすいタイプかどうか、ちょっとチェックしてみましょう。
□太り気味である。
□40歳以上である。
□最近、運動不足である。
□お酒をよく飲む、量も多い。
□おやつや間食を毎日する。
□なんだか、食べ過ぎみたいだ。
□脂っこいものが大好き。
□甘いものも好き。
□野菜や海草類を、食べないことが多い。
□朝食は、食べられない。
□食事時間が、そうしても不規則になりがち。
□夕食が遅く、ドカ食いしてしまう。
□ゆっくり休めない、疲れがたまっている。
□ストレスがたまっていると思う。
□ドリンク剤をよく飲む。
□妊娠中に血糖値が上がった。
□家族や親戚に糖尿病の人が何人かいる。
さあ、どうでしたか?…チェックが多い人が、かかりやすいタイプです。
糖尿病は自覚症状がないので、すでにかかっているかどうかも、チェックしてみましょう。
□最近、太ってきた。
□食欲旺盛で、いくらでも食べられる。
□甘いものが、時々、急に欲しくなる。
□食べても、なんだかヤセる。
□全身がだるい気がする。
□なんだか、疲れやすい。
□足がむくみ、重い気がする。
□やたら、喉が乾く時がある。
□立ちくらみしたことが何回もある
□尿の回数が増えたし、量も多くなった。
□尿のにおいが、何だか気になる。
□尿の出が悪く、残留感がある。
□時々、手足がしびれ、ピリピリっとする。
□眼が疲れ、視力が落ちた気がする。
□ちょっとしたヤケドや、傷の痛みに鈍くなった気がする。
□下腹部が、何だか痒い。
□肌が痒い、かさついている。
もし、当てはまることが多い場合は、なるべく早く検査を受けるようにしましょう。
それでは、糖尿病の検査とは、どのようなものでしょうか?
簡単にいえば、次のような検査をします。
1.普段の血糖値を測ります。
2.空腹時の血糖値を測ります。
3.ブドウ糖(75g)を飲んで、2時間後の血糖値を測ります。
この3つのうちのどれかに異常値が出たら、別の日にもう一度検査をします。
その時に、また異常値が出たら、ほぼ糖尿病という診断になります。
「糖尿病型」と判定される結果
1.普段の血糖値が、200mg/dL 以上。
2.空腹時の血糖値が、126mg/dL 以上。
3.75g ブドウ糖負荷試験で、2時間後の値が、200mg/dL 以上。
また、検査で「糖尿病の疑い」が強く、次の症状が見られるときは、1回だけの検査でも糖尿病と診断されます。
1.糖尿病の典型的症状(口が渇く・水分を多くとる・多尿・体重が減少)がある。
2.グリコヘモグロビン(HbA1c)が、6.5%以上。
3.糖尿病網膜症が見られる。
4.現在「糖尿病の疑い」が強く、過去に高血糖を示したことがある。
グリコヘモグロビンとは、赤血球の中のヘモグロビン(血色素)にブドウ糖が結合したものです。
結合すると離れないので、1~2ヶ月前の血糖状態が分かります。
基準値は4.3~5.8%で、6.5%以上だと糖尿病と診断されます。
糖尿病だと診断された場合は、血糖値や合併症の程度、肥満の状態などを総合的に見て、治療方法が決められます。
血糖値があまり高くなくて、合併症もない場合は、薬は使わず、定期検査をして血糖値の上下を調べるだけになります。
血糖値のコントロールができるのであれば、日常生活は全く問題ありません。
もちろん、肥満・高脂血症などがあれば、それらを改善するような治療が必要になってきます。
糖尿病の検査は職場や地域の健康診断に含まれていますので、毎年必ず受けるようにして、年ごとの経過がわかるようにしておくとよいでしょう。
高血糖といわれたら、どうすればいいでしょう。
糖尿病は初めが大事なので、検査で高血糖といわれたら、まず、かかりつけのお医者さんに相談しましょう。
そして、定期的に血糖値の検査を受け、食事や運動など、日常生活についての指導を受けます。
ところが、血糖値が安定してくると、治ったかと安心して、検査や治療を受けなくなる人が多いのが問題です。
そのうち、いつの間にか血糖が上昇して、合併症を併発してしまいがちです。
血糖値が下がったからといって、もう治ったのではなく、生活習慣が乱れるとまたすぐに上がってしまいます。
一度糖尿病と診断されたら、きちんと定期的に検査を受けて、血糖のコントロールの状態を確かめることが大切です。
合併症を併発してしまうと、さらにさまざまな症状がでてきますので、日常生活や治療にいろんな支障が起こってきます。
必ずお医者さんの指示に従って、血糖のコントロールを続けていくようにしましょう。
最近は、自分で血糖値を測れる「血糖値測定器」があり、いろんな種類が販売されています。
機能に多少の違いはありますが、指や腕・太ももを針で刺して採血し、チップ(センサー)に付けて本体で測定するというものです。
メーカーによって価格や使い方、糖尿病のタイプや生活環境によっても、測定器を選ぶポイントがずいぶん違ってきます。
また、針やチップは消耗品ですし、長期に渡っての使用になるので、コストもかかります。
ですから、まずは、いろいろ調べてみてから購入することをお勧めします。
糖尿病のタイプによっては、一部、保険適用も可能ですので、詳しくはお医者さんに相談してみてください。
現代人は、食べ過ぎや運動不足で肥満になる傾向があります。
肥満になると、軽い糖尿病状態になる人がいますが、早く解消すれば、また正常に戻る事ができます。
しかし、そのまま放置して、糖尿病になってしまう人が増えつつあります。
このように肥満が原因の糖尿病を「肥満糖尿病」といい、患者数は2型糖尿病の6割以上になります。
肥満はどうしていけないのでしょうか?
肥満は、私たちの体にとって異常事態であり、その度合いが高いほど、糖尿病や動脈硬化症などの生活習慣病にかかる率が増えます。
では、肥満とはどういう状態なのでしょうか?
肥満というのは単に体重が増えたというだけではなく、エネルギーの摂取と消費のバランスが崩れ、必要以上に体脂肪が増えた状態です。
しかし、体脂肪だけを正確に測定するのは難しいので、簡単に計算できるBMI(ボディーマス指数)で判定する方法が一般的になりました。
BMIは、「体重 (kg) ÷身長 (m) ÷身長 (m)」で、計算します。
この答えが、「18.5未満=やせている」「18.5~25.0=普通」「25.0以上=肥満」となります。
身長から標準体重を出すには、「身長 (m) ×身長 (m) ×22(理想体重)=標準体重」となります。
25以上を肥満とするのは、25を超えると多くのいろいろな生活習慣病が起きやすくなり、27で糖尿病になる危険が2倍になるということです。
では、なぜ肥満が糖尿病を起こすのでしょうか?
肥満になると、糖代謝を支えるすい臓などの各組織が、それぞれフル回転し、肥満という事態に対応しようとします。
しかし、その状態が長引くとオーバーヒート状態になり、次々と異常が起こり、糖代謝のサイクルが狂ってきます。
いくつかのそういう事態が連鎖して、糖尿病や他の病気が発症するのです。
肥満糖尿病予備群または軽度の糖尿病の場合、まず、体重減少が予防・治療の第1歩です。
細胞が持っているインスリンの感受性(働き)を回復させ、正常な血糖値を取り戻すために、まず体重を減らしましょう。
日本人の場合、まず5kg 減らすだけで、インスリンの感受性や血糖コントロールが、目に見えて改善してきます。
減量は、食事療法と運動療法を組み合わせて行う方法が、無理なく出来て効果的です。
食事療法で摂取エネルギーを減らし、運動療法で代謝改善をして、太りにくい体質に改善していくのです。
減量しても改善が見られない、または減量が出来ない場合は、補助的に薬物療法を行うものの、肥満糖尿病の場合は減量で解決することが多いです。
減量は、目標によって、短期長期の2段階方式がオススメです。短期でガッと減量し、長期でジワジワ確実に減量していきます。
・短期プランは、「1日の摂取カロリー=標準体重×20キロカロリー」で、2~3ヶ月で3~5kg減量します。運動は補助的に行います。
・長期プランは、「1日の摂取カロリー=標準体重×30キロカロリー」で、毎月1kg~の減量を目標とし、運動量を短期より増やします。
運動量は、1日最低 200~300キロカロリーの運動を日課にします。
・最終目標は、BMI 20~24kg/m2 程度になることが目標ですが、減量はあくまで手段であって、目的は血糖値を正常範囲にキープできることです。
目標を達成後は、体重のキープと血糖値の良好な維持に、努めてください。
また、もし、どうしても減量がうまくいかない場合は、主治医に相談してみてください。
「超低カロリー食」「食事日誌」「教育入院」「肥満糖尿治療薬の処方」などの方法があります。
すべて、主治医の指示に従って行います。
減量を成功させるポイントは、次のようなことです。
1.肥満の今がチャンスだと思いましょう。まだ、軽度のうちなら糖尿病は治せるのです。
2.運動療法の前には、メディカルチェックを受け、関節症や他の合併症がないことや、注意点をチェックして行いましょう。
軽い運動から始めて、筋肉や関節を痛めないようにして、また、筋肉をつける運動も加えていきましょう。
3.停滞期やリバウンドにめげないで、あせらずに毎日の積み重ねで乗り切りましょう。
4.「早食いをしない」「ゆっくり、よく噛んで食べる」「満腹まで食べない」ようにしましょう。
5.薬はなるべく減らす努力をしましょう。食事と運動が減量の基本であり、最大の近道です。
食事療法はどうして必要なのでしょうか?
それは、糖尿病がインスリンの不足や欠乏から起こる病気だからです。
インスリンが不足すると、ブドウ糖などの栄養がエネルギーとして利用できなくなり、各細胞が栄養不足になります。
一方、利用されないブドウ糖はどんどん増え続けて、血液中にあふれてしまいます。
その状態が「高血糖」で、これを放っておくと合併症が起こってきます。
そうならないためには、食べ物の量を制限し、いろんな栄養が不足しないよう、「食事の取り方」を変える必要があるのです。
栄養バランスがとれていて、その人にあったエネルギー量の食事に切り換える、それが食事療法です。
食事療法は少し軽視されがちですが、一番効果があり、かつ、他の治療法の効果も助ける、一番基本的で重要な治療法なのです。
しかし、食事療法といっても、特別な食事ではなく、1日の摂取エネルギー量が制限されるだけです。
あとは「炭水化物」「たんぱく質」「脂質」の三大栄養素と、ビタミンやミネラルなどを欠かさず、必要量とること。
つまり、それまでの食事の偏りを改めて、健康的でバランスのよい食事にすることが目的なのです。
また、そのことは、一般の人が生活習慣病を予防し、長生きするための健康食としても効果的です。
食事療法で少々難しく感じるのは、食品を選ぶとき、その食品の栄養素やエネルギー量が、わかりにくいということです。
そこをわかりやすく表にしたものが、日本糖尿病学会の「糖尿病食事療法のための食品交換表」です。
それは、普段よく食べる食品から約500種を選び、似たもの同士を分類し、同じ表同士なら交換可能な範囲を示したものです。
これを使えば、食品のエネルギー量と重量が簡単にわかり、また、他の食材に交換できるので、それほど献立に悩むこともありません。
ただ、実践の段階で、慣れるのにちょっとコツがいります。
「必要なエネルギー量」「必要な栄養量」を算出し、「80kcal=1単位(交換表の基準)」として、配分や交換のルールを把握します。
そして、よく食べるものをチェックして、すでにある献立表を食べたい献立にアレンジします。
そうやって、実践していきながら、どんどん慣れていってください。
そして、季節の変化や好みを取り入れて、「食事療法」をバラエティーに富んだ、おいしく楽しいものに変えていってください。
糖尿病の食事療法は、その人にあった「エネルギー量」の中で、必要な栄養分をバランスよく摂取することです。
そのため、簡単にエネルギー量をチェックするために、食品交換表をよく理解して、有効活用することが大切です。
外食は自宅で食べるよりも分かりにくいので、外食が多い人は特に、食品交換表を使った食事の取り方を再確認してください。
自分で料理をすれば、料理前と料理後の量の違いがわかり、食材の1単位の量(=目安量)がわかってきます。
料理された物を見たときに、「表のどれに該当するか、どれくらい使われているか、何Kcal〈キロカロリー〉 ぐらいか」が、わかるようになればベストです。
そこで、外食にあてる「エネルギー量」と「単位配分」を確認します。
表に合わせて、3食を均等に分けられるのが理想ですが、外食ではどうしても配分に偏りが出ます。
それで、とくに野菜類などの不足分は、家庭の食事で調整するようにしましょう。
他にも外食を楽しむ知恵が、いろいろあります。
・丼物より定食のほうが、栄養がバランスがよいでしょう。
・目安量がつかみやすいので、食材の形が生かされたナチュラルなメニューがオススメです。
・天ぷらやフライなどの揚げ物料理は、高カロリーです。衣を外して食べたほうがよいでしょう。
・ポケット版の食品交換表や外食ガイドブックなどを携帯するのは、とてもよいことです。
・目安量の確認に、ハンディータイプの秤を活用しましょう。
・残業するときは、夕方に軽食をとり、その分は夕食で調節しましょう。
・宴会はなるべく避けたほうがよいですが、参加する日は昼食を少なめにしておきましょう。
・原則、禁酒です。主治医に相談しましょう。
・自分で積極的に料理をして、料理好きになりましょう。
「運動療法」は、「食事療法」「薬物療法」と並んで、糖尿病治療の有力手段です。
とくに、2型糖尿病で血糖コントロールが安定している人の場合は、食事療法とともに行うと、さまざまな症状が改善されます。
また、動脈硬化の予防や老化防止にも効果があることが、実証されています。
しかし、合併症がある時には病状を悪化させることもあるので、何が効果的なのかを理解し、適度な運動で快適な毎日を過ごしましょう。
では、どんな効果が得られるのでしょうか?
「血糖を下げる」…運動時のエネルギー源として血中のブドウ糖を消費するため、血糖が下がり、それが翌日まで持続します。
また、継続すると、筋肉や脂肪などの組織細胞のエネルギー変換能力が高まるので、すい臓の負担が軽くなります。
「体重を減らす」…運動時のエネルギー源として脂肪も使うので、継続すれば体重を減らすことができます。
また、中性脂質や動脈硬化の原因の悪玉コレステロールを減らし、善玉コレステロールが増えます。
他にも、「血液の循環をよくし、血圧を下げる」「心臓や肺の働きを強化する」「足腰などの筋力を強くして、老化を予防する」
「ストレス解消など、気分転換になる」「体力がついて動きが楽になるので、日常生活が快適で過ごしやすくなる」などがあります。
どんな種類の運動が効果的かというと、ジョギング・ウォーキング・サイクリング・水泳などの有酸素運動がオススメです。
その中でも、手軽で道具なしで誰でもできる運動「速歩」「散歩」「自転車」「ジョギング」「水泳」などに人気があります。
なお、運動の前後は、必ず、準備体操・整理体操も忘れずにしてください。
そして、ジョギングなどの中程度の運動を、1日に15~60分程度、食後1~2時間以内、週3~5回というのがベストです。
毎日続ける必要はありませんが、1日おきでも継続し、長く続けることが大事です。
また、運動を始めたら、最低20分くらいは続けると効果があります。
これは、運動を始めて、15分を境に、エネルギー消費が、血糖中心から脂肪中心へと移行して脂肪が燃焼し始めるからです。
そして、効果があったかどうかの判断は、自覚症状とメディカルチェックの両方で見ます。
自覚症状で、体調がよくなったと感じたときは、血糖や体重などにも何かよい変化が出ているはずです。
逆に疲労感や痛みがあった場合は、不適切な部分があるようなので、運動の中身を再検討したほうがよいでしょう。
月に1度は、主治医のメディカルチェックを受け、運動のやり過ぎや、病気を悪化させたりすることがないようにアドバイスを受けましょう。
運動療法といっても、エアロビクスなどの本格的なスポーツを、急に始めなくてはいけないというわけではありません。
身体活動(=日常のちょっとした動き)を増やすことが「運動」になっていることも、たくさんあります。
家事や庭いじりをやったり、ウォーキングで歩数を増やしたりなど、軽めの運動を増やすことでエネルギー消費量を増やすことができるのです。
「ウォーキング20分=バレーボール20分」「自転車15分=子供と15分遊ぶ=速歩15分」「階段の上り下り10分=エアロビクス10分」
これらは、それぞれ同じくらいのエネルギーを消費しますが、こういう細切れの時間でも積み重ねていけば結構な運動量になります。
「忙しいので運動する時間がない」という人も、「家から駅まで歩く=10分」「エスカレーターをやめて階段を上る=5分」というように心がけてみましょう。
そうやって、体を動かす時間を少しずつ増やせば、だんだんと運動の効果があらわれてくるものです。
また、人気のウォーキングですが、1日の運動量として「およそ1万歩が望ましい」とされるが、意外と挫折した人も多いということです。
その理由はさまざまですが、飽きてしまうというのも理由の1つかもしれません。
そういう場合は、少し遠出をして「ウォーキング向けの観光コース」を歩いてみてはいかがでしょうか。
ウォーキングコースの整備は 健康増進や生活習慣病予防の必要から、全国に進められています。
「ウォーキング・トレイル事業(国土交通省道路局) 」は、「歩いて楽しい道づくり」を目指して96年度から全国で始められた事業です。
緑豊かな景観などを楽しみながら、ウォーキングを快適に楽しめる道を開発しています。
安全性重視で、休息施設があること、案内となるサインがあること、万一に備え救急体制が充実していること、などが確認済みです。
「水土里の路ウォーキング(農林水産省)」は、 心やすらぐ農業水路のせせらぎや美しい景観、地域の文化を楽しめるウォーキングコースを紹介しています。
このようなウォーキングコースも取り入れて、いつもと違う景観や施設などを楽しめば、毎日のウォーキングも変化があって楽しくなると思いますよ。
インスリン療法は、糖尿病のタイプや症状によって、内容が違ってきます。
すい臓からのインスリンの分泌は、24時間一定量が出る「基礎分泌」と、食事などの血糖値上昇のタイミングで出る「追加分泌」があります。
2型糖尿病の場合、インスリン分泌力はわりと保たれていますが、量が少なかったり、タイミングが悪かったりすることで高血糖になります。
2型糖尿病のインスリン療法は、この保たれている分泌力をうまく活用して、よりよい血糖コントロールを保持することが目的です。
ですから、追加分泌を「超速攻型」や「速攻型」で補うと、血糖値が改善します。
1型糖尿病の場合は、両方の分泌分をインスリン注射で補う必要があります。
インスリン製剤は、皮下に注射した後の「効果開始時間」「ピーク」「持続時間」の違いによって、「超速効型」「速効型」「中間型」「持続型」の4種があります。
また、混合製剤もありますので、それぞれの特徴を生かして上手に使いわけます。
最近は、簡単なペン型やキット製剤が主流で、全くといえるほど痛みはありません。
「超速効型」は、注射後すぐに作用し始めるので、食事の直前に注射でき、従来の「速攻型」よりも各段に便利になりました。
また、新しいタイプの「持続型(持効型溶解)」は、ほぼ24時間安定した効果が見られるので、低血糖の心配が少なくなりました。
それで、この注射と、食後の高血糖に対応する経口薬との併用治療も、検討され始めています。
インスリン療法は、病状が進んだときの治療法であると誤解されがちですが、血糖のコントロールのために行うもので、症状が改善されればインスリン療法が不要になる場合も多いです。
また、インスリン療法で血糖値を安定させておくと、すい臓を休ませることになり、インスリン分泌力が回復することもよくあるのです。
薬物療法には、「インスリン療法」と「経口剤療法」の二つがあり、大半は「経口剤(経口血糖降下剤)」で治療しています。
注射に比べて抵抗感がないこと、血糖値があまり高くなければ経口剤だけでも効果があること、内服だけという簡単さなどの理由からです。
主な経口剤は、「スルフォニル尿素剤(SU剤)」「ビグアナイド剤(BG剤)」「α- グルコシダーゼ阻害剤」「速効型インスリン分泌促進剤」「インスリン抵抗性改善剤」の5タイプです。
経口剤は、食事療法と運動療法を守っているのに、血糖コントロールが改善しない、2型糖尿病の人に有効です。
まず、少量から服用を始め、血糖値の動きとともに量を加減し、血糖コントロールが安定しても、定期検査で効果を確かめていきます。
どんなに副作用が少なくても、薬は体にとっては異物ですから、できれば飲まないほうがよいわけです。
ですから、食事・運動療法をきちんと継続、実践していくことで、薬の量が減らせ、全く不要になってくる可能性もあります。
また、SU剤を継続していると、次第に薬の効果がうすれてくる「二次無効」という状態になることがあります。
その場合は、食事・運動療法を再確認して厳格に行い、その結果、他の経口剤を併用したり、インスリン療法へ移行したりします。
それから、薬の作用が強すぎたり、食事時間が遅れたり、運動量が多かったりしたときに、「低血糖」が起こりがちです。
主な症状は、ふるえ・動悸・発汗・脱力感・眠気・頭痛・目のかすみ、などです。
症状が出たら、すぐにブドウ糖(または砂糖やジュース)を口にする必要がありますので、常にブドウ糖や砂糖などを携帯してください。
「α-グルコシダーゼ阻害剤」を服用している時の低血糖は、でんぷん・糖分の分解吸収を遅らせる薬なので、ブドウ糖やジュース類を口にして、すぐに血糖値を上げてください。
アルコールを飲むと肝臓の働きが鈍り、薬が体内に蓄積し、低血糖を起こしやすくなるので、経口剤を服用している時は、絶対に禁酒です。
特にBG剤は、副作用が強く出る恐れがあるので、要注意です。
低血糖が起き、副作用と思われる症状が出たときには、必ず主治医に報告してください。
糖尿病の治療は、血糖をコントロールすることが基本です。
しかし、血糖の動きは、いつも一定とは限らず、薬を使っていると、さらに複雑になります。
特にインスリン療法では、血糖の状態によってインスリンや食事の調整が必要なので、きめ細かいチェックが必要です。
そこで、日常生活の中で、自分でチェックできるようにしたシステムが、血糖自己測定(SMBG)です。
自分で測ってみると、いろいろなことが発見できます。
日常の行動が血糖に及ぼす影響や、病状との関係など、理解が進むにつれて治療にフィードバックする内容も充実していきます。
その結果、血糖のコントロールも良くなり、低血糖や合併症の発症を防止できるなど、さまざまなメリットが出てくるのです。
血糖測定を行う場合、2つのポイントがあります。
1つは、コントロール状態を把握するのに、1日24時間の血糖の動きを知るということ。
もう1つは、食事・運動・ストレスなどで血糖は大きく変動するため、これらの影響を中心にチェックするということです。
最近は、血糖値測定器の進歩発展はめざましく、小型軽量で使いやすい機種がいろいろ出始めました。
血液をブドウ糖酸化酵素に反応させ、電流で測るタイプ「=電極法」と、試験紙の色で測るタイプ「=試験紙法」、尿酸測定法などがあります。
また、「ケトン値も測定できる機種」「音声確認機能付き」「痛みの少ない減圧式採血機式+指先以外でも計測可能」「針とチップを備蓄できる機種」「測定が早い機種」「結果を大量に記録できる機種」などがあります。
それから、「測定器のレンタルサービス」もあります。
さらに、最近のニュースでは、採血せずに血糖値を測定できる装置が、いろいろと開発中で実用化に向けて進んでいるということです。
「レーザー光を利用するもの」「特殊なセンサーを搭載したもの」「組織液による測定を行うもの」などです。
従来の痛みや手間・消耗品リスクなどを大きく軽減できる測定器が、早く実用化されることが切望されています。
低血糖は、インスリンを薬や注射で補充しても、体の必要量に足りなかった場合に起こります。
たとえば、食事の量が少なかったり間隔をあけすぎたりした時、いつもより運動量が多かった時、薬の量やタイミングをミスした時などです。
健康な人の場合は、血糖値が下がるとグルカゴンなどの「拮抗ホルモン」が分泌され、正常値(70mg/dL 以上)に保とうとします。
しかし糖尿病では、拮抗ホルモンの分泌能力も低下していることが多いので、正常値に上げることができないのです。
ですから、もし、血糖値が下がりすぎると、「53mg/dL」くらいで、 発汗・火照り・動悸・吐きけなどの「自律神経症状」が起こります。
これは、低血糖に対する「警告サイン」なのです。
さらに、「48mg/dL」まで下がると、 錯乱・脱力・眠気・めまい・ろれつが回らないなどの「中枢神経症状」が起こってきます。
この状態になっても糖分をとらずにいると、さらに進行して意識障害が起こり、自分ではどうにもできなくなります。
さらに進むと低血糖昏睡に陥り、最悪の場合は死に至ります。
低血糖の症状や、その症状が出るレベルの範囲は個人差が大きいので、一概にどれが最初の「警告サイン」かはわかりません。
ですから、もし低血糖を経験したら、その症状をよく記憶し、自分の場合の特徴を知っておくようにします。
一度、高度の低血糖を起こすと、「警告サイン」が出ないうちに、いきなり意識障害のほうが先に起こってしまうので要注意です。
ただし、その後1~2ヶ月間、低血糖を起こさなければ、症状も軽くなるので、低血糖状態を繰り返さないように気をつけましょう。
低血糖の対処方法としては、症状が現れたら、まずブドウ糖を10~15g飲み込み、しばらく安静にします。
余裕があれば血糖値を測り、低血糖状態であることの確認をしましょう。
15分ほど経っても回復しない場合は、さらに同量を追加します。
意識障害が出て、自分で何もできなくなった時は、周囲の人に処置してもらいます。
そのため、日頃から、家族や職場の人にも対応を頼んでおきましょう。
ブドウ糖水やグルカゴン注射で対応しますが、5分以内で回復しない場合は、主治医に連絡を取るとともに救急車を呼びます。
低血糖は、どんな時に起きるかわからないので、「ブドウ糖」と「詳細を記入したメモ」は常に身に付けるようにしましょう。
低血糖は、薬物療法をしている人の多くが必ず経験することですが、適切に対応すれば恐くありません。
恐れずに血糖コントロールを続け、合併症が起こらないよう、血糖値が改善していくよう心がけていきましょう。
神経障害は、「腎症」「網膜症」と並んで、糖尿病の三大合併症のひとつです。
症状は、「手足のしびれ・痛み」「感覚の鈍化・麻痺」「下痢・便秘」「立ちくらみ」「味覚障害」「発汗異常」「尿障害」などです。
腎症や網膜症が自覚症状のないまま潜伏するのに比べ、神経障害は自覚症状がごく初期段階から現れます。
神経は、脳からの命令を伝達し、脳へ情報を送る役目を持っています。
脳、脊髄からなる「中枢神経」と、そこから枝分かれして体の末端まで広がる「末梢神経」があります。
末梢神経には、「感覚神経」「運動神経」「自律神経」があり、それぞれ、冷・熱・痛みなどを感じとる、手足を動かす、話す、内臓や体温などを動かし調節する、などの役割があります。
神経障害があると、これらのコントロールが上手くできなくなり、いろんな部分に不調や不具合が起こってきます。
糖尿病による余分なブドウ糖のために細胞のメカニズムが狂い、神経細胞の中にソルビトールという物質が蓄積されます。
それを、「ポリオール代謝異常」といい、やがて神経が侵され始めます。
さらに、高血糖によって細い血管の血流が悪くなり、神経細胞が必要としている酸素や栄養が行きわたらないことが原因にもなります。
神経障害が悪化すると、「神経麻痺・壊疽」「低血糖・高血糖を繰り返す」「無痛性心筋梗塞」「突然死」「うつ病」などに陥る危険性があります。
神経障害にならないためには予防が一番で、そのためには定期検査を受けることが大切です。
また、症状があらわれた場合は、それが神経障害によるものか、別の病気によるものかを判断するため、詳しい検査を受けることになります。
治療の基本は、神経細胞の中に蓄積したソルビトールを取り除くこと、血流れを改善して神経細胞へ酸素や栄養が届くようにすることの2つです。
そのためには、血糖コントロールを改善することが第一となり、上手くいけば重症でない限り、神経障害は改善します。
このように、神経障害はいろいろな要因が複雑に関わってくる病気ですので、糖尿病との関連をよく理解し、日頃の血糖コントロールを維持するようにすることが大事です。
糖尿病網膜症は、糖尿病になって血糖コントロールを十分しないままでいると、8年~10年のうちにジワジワと発症します。
初期には自覚症状が少ないので、精密眼底検査を習慣づけましょう。
早期発見であればあるほど、治療の成功率が高いものです。
糖尿病の目の病気は、「網膜症」のほか、「白内障」「血管新生緑内障」などがあります。
網膜症とは、カメラのフィルムの役目をする網膜が損傷した結果、起こります。
網膜は、光や色を感じて脳に伝達する役割がありますが、そこには細かい血管が無数に広がっています。
糖尿病では、血液の粘性が強いため、この血管をつまらせたり、血管壁に負担をかけたり、細小血管症を起こします。
そのため、網膜の酸素や栄養が不足して、眼底出血や硝子体出血などの網膜症が起こります。
網膜症は進行にしたがって、「単純網膜症」「前増殖網膜症」「増殖網膜症」の3段階に分けられます。
糖尿病による「白内障」は、カメラのレンズである水晶体に糖分が蓄積され、白く濁ってしまうものです。
多くは水晶体を取り出して、プラスチック製の眼内レンズを入れると良くなりますが、重症の場合は、この手術さえできないこともあります。
「血管新生緑内障」は、カメラの絞りにあたる「虹彩」の周りには目の潤滑のため水が流れる構造になっていますが、ここに新生血管ができます。
糖尿病網膜症が重症になると、この新生血管のために隅角がつまり、そのために目の中の眼圧が高くなります。
そして、視神経の圧迫で視力が低下し、ついには失明してしまいます。
「単純網膜症」の段階ならば、血糖コントロールを上手に保てば、自然に治っていきます。
しかし、「前増殖網膜症」の段階では「レーザー光凝固術」、「増殖網膜症」では「硝子体手術」といった外科的手術が必要になります。
現在では、レーザー光凝固術など治療が進歩しましたが、それでも予防の鍵になるのは「血糖コントロール」です。
良好な血糖コントロールを目指して、食事療法や運動療法をねばり強く行った人は、網膜症が発病しにくく、進行もしにくいことがわかっています。
糖尿病網膜症にならないように、日頃から気をつけることが、最も重要なことです。
腎臓は体内の老化物をろ過し、尿として排泄する重要な機能をもっています。
糸球体という細小血管塊が集まった組織で、それが左右の腎臓のなかに100万個ずつもあります。
血液が運んできた体内の老化物を、この糸球体の1つずつでろ過するのです。
糖尿病性腎症は、この細小血管が狭くなり、老廃物を充分にろ過できないために起こります。
そして、高血糖・肥満・高タンパク・高食塩・ストレスなどの悪い因子が加わると、進行に拍車がかかると言われています。
早期の腎症を発見するためには、微量アルブミン検査が有効で、これは微量のタンパク(アルブミン)を感度よい方法で尿から検出する新しい検査方法です。
糖尿病の人は、血糖コントロールが良好の人でも、予防の意味で年1回は、微量アルブミン尿の検査を受けるようにしましょう
腎症は、5つの段階があり、それぞれ症状と治療のポイントが違います。
「正常期」は、臨床的症状なしで、治療の目的=予防です。
「微量アルブミン尿期(早期腎症) 」は、微量アルブミン尿検査が陽性で、治療の目的=進行を抑制します。
この時期から血圧の上昇が見られるので、厳格な血糖コントロールと血圧の管理が行われます。
「顕性腎症期」は、タンパク尿が陽性で、治療の目的=進行を遅らせます。
腎機能が悪くなり、むくみが出てくるので、血糖と血圧の管理に加え、腎症の治療に重点を置いた食事療法の切り替えが行われます。
「腎不全期」は、「尿毒症」や「貧血」など、いろんな腎症の症状が出てくるので、治療の目的=症状を抑えます。
それまでの治療・管理に加えて、水分制限と経口剤(SU剤)からインスリン療法への切り替えを行います。
「透析期」は、透析を開始します。
透析は90%が「血液透析」で、その他に「腹膜透析(CAPD)」というものがあります。
血液透析は週に3回、病院で4~5時間をかけて行われます。
末期腎不全では、透析療法のほかに「腎移植」がありますが、日本では糖尿病性腎症による腎移植はあまり行われていません。
糖尿病による腎臓障害を予防するには、血糖コントロールをよくし、定期的に尿検査を受け、腎臓にやさしい生活をすることが重要です。
高血圧の患者数は国内で 3,000~4,000万人といわれ、同様に、糖尿病も予備群を含め約2200万人に上る、まさに国民的病気です。
そして、糖尿病の人は血圧が高くなりやすく、4~6割が高血圧を合わせ持っています。
日本人の死因の上位である脳卒中や心筋梗塞などの病気も、糖尿病や高血圧の複合的な影響で動脈硬化が進行し、発症するケースが多く見られます。
糖尿病の人は、軽い高血圧でも、積極的に治療することが大切です。
血圧とは、血液が流れる時に血管の内側にかかる圧力のことで、血圧が上がる理由は2つあります。
1つは血管が硬くなり広がりにくくなること、もう1つは血液の量が過多になることです。
高血圧は、収縮期血圧(心臓が収縮したときの血圧。最高血圧)が140mmHg以上、拡張期血圧(心臓が拡張したときの血圧。最低血圧)が90mmHg以上ならば、高血圧と診断されます。
9割以上は、原因を特定できない「本態性高血圧症」で、食習慣・肥満・ホルモン異常・遺伝など、いろいろな要因が考えられます。
それとは別に、他の病気のために高血圧になる「二次性高血圧症」もあります。
高血圧を放置すると、脳卒中・心臓病・網膜症・腎疾患などの合併症が起きてきます。
これは、高血圧状態が血管の壁を傷付け、動脈硬化を進行させることと深い関係があります。
高血圧は自覚症状に乏しいので、放置してしまいがちですが、定期検査と適切な治療を受けないと、恐ろしい合併症が進行してしまいます。
糖尿病で高血圧が問題になる理由
1.糖尿病で高血圧になりやすい…高血糖で血液量が増える、肥満の人が多い、インスリン抵抗性のため血管が広がりにくい、腎症で血圧があがる、など。
2.動脈硬化がより起こりやすい…糖尿病と高血圧が、心臓病や脳血管疾患に及ぼす危険性は、健康な人が1とすると、糖尿病+高血圧で6~7倍になります。
3.糖尿病の合併症の進行が加速される… 高血圧は腎症を進行させ、腎症は血圧を上昇させます。
ですから、糖尿病の人は、正常範囲上限付近の血圧でも治療の対象となり、130/85mmHg未満に管理することが望まれます。
さらに、糖尿病性腎症がある人(尿蛋白1g/日以上)では、125/75mmHg未満にすることが勧められます。
糖尿病も高血圧もコントロールする病気なので、治療は、日常の生活習慣の改善が重要になってきます。
現在、国内の痛風の人は約30~50万、尿酸値が高い「無症候性高尿酸血症(痛風予備群)」の人は約 500万と言われています。
痛風は、血液中の尿酸の濃度「尿酸値」が高い状態が続くのが特徴です。
「高尿酸血症(痛風予備群)」は、自覚症状はありませんが、治療せずにいると、痛風発作やさまざまな合併症が発症・進行します。
主な合併症に、「腎臓障害」「尿路結石」「動脈硬化」などがあり、糖尿病との関係では、とくに「動脈硬化」が問題となります。
高尿酸血症は、遺伝的な体質があり、それにさまざまな生活習慣が加わることで発病します。
その生活習慣とは、過食・アルコール・運動不足・肥満・精神的ストレスなどです。
つまり、これらは糖尿病を招く習慣とほぼ同じ内容で、実際、糖尿病の人は尿酸値が高い人が多く、高尿酸血症の人は糖尿病や予備群になりやすいのです。
逆にいえば、高尿酸血症を治療することは、糖尿病の予防・治療につながり、糖尿病の食事・運動療法は、尿酸値にも良い影響があります。
糖尿病と高尿酸血症の人に共通していることは、肥満している人が多いので、治療はまず減量することから始めます。
その人の体格や消費活動量にあったカロリーで、バランスよく栄養をとります。
減量を急いで極端にカロリーを減らしすぎると、エネルギー源として脂肪が利用され、ケトン体が発生します(ケトーシス)。
血液中のケトン体濃度が高くなると尿酸は排泄されにくくなり、細胞が壊れてしまうと核酸からプリン体が放出されて、尿酸値が上がります。
ですから、カロリー調整に加えて、水分をたくさんとり、野菜類を多く食べて、きつすぎない運動を継続するなどして、積極的に尿酸値を下げましょう。
痛風はなくても尿酸値が9mg/dL以上なら、痛風と合併症予防のために薬物治療を行います。
尿酸コントロールの目標は、「6mg/dL以下」が目安で、理想は「4.6~6.6mg/dL」です。
痛風の場合、痛風だけという人はわずか4%で、さまざまな生活習慣病の併発が多く、動脈硬化も共有しています。
最近、生活習慣病の発病には、インスリンが作用しにくくなる「インスリン抵抗性」が関係していることがわかってきました。
同様に高尿酸血症の発病にも、インスリン抵抗性が関わっている可能性があるということです。
そしてそのインスリン抵抗性を生む大きな要因が、「遺伝的要素」と「生活習慣」といえます。
生活習慣は自分次第で改善できることですので、尿酸値が高いといわれた人は、血圧や血清脂質・血糖値の適切なコントロールを継続していきましょう。
そして、痛風や他の合併症に気をつけ、動脈硬化の予防に努めるようにしましょう。
脳梗塞や心筋梗塞は突然に起こり、命が奪われることもある恐ろしい病気で、たとえ助かっても後遺症が残ったりすることもあります。
日本の脳梗塞・心筋梗塞の発症率も、最近、増加の一途を辿っています。
そして、糖尿病の人はそうでない人の2~3倍の可能性があり、脳梗塞になった人の約半数、心筋梗塞になった人の約3分の1に糖尿病がみられます。
なぜ、糖尿病の人がなりやすいかというと、どちらも動脈硬化のために血流が止まって起こる病気であり、糖尿病はその動脈硬化の進行を早める恐れがあるからです。
動脈硬化が進むと血管中の血流が狭まって、血栓(=血液の固まり)ができやすくなります。
その血栓によって血流がせき止められると、その先の細胞は酸素や栄養不足で間もなく死に至る…それが「梗塞」です。
脳や心臓の細胞は再生せず、梗塞で死んでしまった細胞の働きは復活しないので、そのために後遺症が残ってしまいます。
では、なぜ糖尿病になると動脈硬化が起きやすいのでしょう?
動脈硬化が進む大きな原因は、動脈の内膜の部分にコレステロールが大量に取り込まれてしまうからです。
血液中では、水に溶ける蛋白質が(水に溶けない)コレステロールを包んで「リポ蛋白」となっています。
血糖値が高い時、このリポ蛋白が酸化されたり、ブドウ糖が結合したりして変化します。
そのリポ蛋白が血管の内膜に蓄積されプラークという塊を作り、そのために、糖尿病があるとコレステロールがそれほど高くなくても、動脈硬化が進行するのです。
脳梗塞・心筋梗塞の発作の時には次のような症状が現れますので、このときには迷わず早急に救急車を呼ぶことが大事です。
「脳梗塞」は、「手足の麻痺」「舌のもつれ」「めまい」「意識障害」などで、時間とともに症状が深刻になります。
「心筋梗塞」は、「激しい胸痛」「呼吸がしにくい」「顔面蒼白」「冷や汗」「手足が冷たくなる」「ニトログリセリンが効かない」 などです。
この場合も、手遅れにならないように、注意が必要です。
脳梗塞や心筋梗塞の発作が起こる前に、脳や心臓の血流の悪化を示す症状(=発作のサイン)が現れることがありますので、その場合は早めに詳しい検査を受けてください。
脳梗塞や心筋梗塞が起こらないためには、動脈硬化の進行を防ぐことがもっとも大切です。
動脈硬化は老化とともに誰でも進行しますが、その進行を早める要因がわかっているときには、それを1つずつ解消していくようにしましょう。
毎日の生活の中でも、気温の変化・タバコ・お酒・ストレスに注意し、定期検診をこまめに受けるなど、発作や進行を抑える予防対策をとるようにしましょう。
糖尿病の人は、「肺炎」「膀胱炎」「腎盂炎〈じんうえん〉」「皮膚炎」「歯肉炎」「風邪」などの感染症にかかりやすく悪化しやすい傾向があります。
また、回復にも時間がかかり、血糖値が普段よりも増してコントロールが悪化し、糖尿病そのものにも影響が出てしまいます。
糖尿病の人が感染症にかかりやすく悪化しやすいのは、感染防御機構がいろんな理由で壊れてしまうからです。
1.好中球(白血球の成分)の貪食(細菌やウィルスを食い殺す)機能の低下。
2.免疫反応の低下
3.血流の悪化
4.神経障害によって感染・悪化の一因に
5.血糖値がさらに上昇する
また、あらゆる感染症にかかりやすくなっていますが、とくに次のような感染症に注意しましょう。
「尿路感染症」「上気道炎(かぜ)・肺炎、結核」「胆のう炎」「皮膚感染症・足病変」「歯肉炎」など。
糖尿病の人が、感染症など他の病気にかかったときは、「シックデイ」といい、特別な対処が必要になります。
感染症は、体内に侵入した細菌類が増殖して、いろいろな症状を起こす病気です。
ですから、その治療は、病原菌を殺菌することが最初の目的となりますので、安静に温かくして、体の持つ本来の抵抗力を高めます。
しかし、これで対応できるのは軽い感染症のときで、抵抗力が低下している時は、抗生物質を使います。
抗生物質はタイプが何種類もあり、目標となる病原菌にあわせて使い分けます。
感染症予防の基本は、なるべく健康的な生活を維持し、普段から抵抗力をつけておくことです。
糖尿病の人は骨折しやすく、その頻度はそうでない人の2~4倍といわれています。
それには、インスリンの不足にも加え、いろいろな原因が関係しているといわれています。
骨の細胞には、3種類の細胞があります。
骨が新しく作られる「骨芽(コツガ)細胞」、骨自体を維持する「骨(コツ)細胞」、骨を壊す「破骨(ハコツ)細胞」です。
骨が古くなると、破骨細胞が破壊(吸収)し、骨の成分であるカルシウムやコラーゲンを血液中に溶かし出します。
すると骨芽細胞が集まってきて、コラーゲンを分泌し、それにカルシウムを主成分とする骨塩(コツエン)が沈着して新しい骨が作られます。
そして、骨の強度が保たれるのですが、この流れを「骨代謝回転」といいます。
骨は姿勢を維持し、身体の内部を守っていますが、同時にカルシウムを蓄える役目があります。
体内のカルシウムの 99%は骨にあって、残りの1%が血液や筋肉などにあるに過ぎません。
しかし、全身細胞がちゃんと働くためにはカルシウムは不可欠で、血液中には常に一定量が保たれていることが必要です。
カルシウムの摂取不足などで血液中のカルシウム濃度が低下すると、破骨細胞は、それを補うために骨を破壊して血液中へカルシウムを溶かします。
それによって血液中のカルシウム濃度は保持されますが、破壊された骨は、再形成が十分に行われません。
「骨粗しょう症」は、老化やカルシウム不足などから骨代謝のバランスが崩れ、骨形成よりも骨吸収がどんどん進み、骨の内部がスカスカになる病気です。
老化によって誰でも骨はもろくなりますが、糖尿病の人は骨量が減少しやすいので、「骨粗しょう症」にもなりやすいのです。
骨芽細胞にはインスリン受容体があり、骨芽細胞を増殖させる作用がありますが、インスリンが足りないと骨芽細胞は増えないので、骨形成が低下します。
実際に糖尿病の人は、骨代謝マーカーのオステオカルシンの低下が確認され、骨量減少が起きていることがわかります。
また、高血糖になると尿が多くなり、カルシウム・マグネシウムが排泄されやすくなり、骨形成が低下します。
さらに、活性型ビタミンDが足りずに、カルシウムが腸から吸収されにくいという現象もあります。
高血糖状態で蛋白質の糖化が起き、それによって正常なコラーゲンが減って、骨がもろくなるということもあります。
ですから、検査で骨量の減少を指摘されたら、食事や運動で骨量を減らさないようにしていきましょう。
そして、高血糖状態によって血流が悪くなると、虫歯や歯周病、味覚異常、舌や口内の粘膜が荒れるなどのトラブルが起こりやすくなります。
日頃から気をつけて、血糖のコントロールに加えて、いろんなトラブル防止のケアを行いましょう。
糖尿病の人が何かの病気になった時、それが風邪や腹痛・下痢など、すぐ治りそうな簡単な病気でも油断してはいけません。
人間の体は病気になると、血糖が上昇するので、いつもの治療だけではコントロールが悪化することがあるからです。
そのため、糖尿病と新しい病気の両方を治療する必要があります。
その対応を誤ると病状が急変し、場合によっては昏睡(ケトアシドーシス昏睡・非ケトン性高浸透圧性昏睡)で死亡するケースもあります。
ですから、そうならないよう、早い段階で病気をケアし、治してしまうことが何よりも重要なのです。
(「ケトアシドーシス昏睡」とは、急激な高血糖とケトン体の増加で、血液の酸性化が進んで起こる昏睡のこと。
「非ケトン性高浸透圧性昏睡」とは、急激な脱水症状で高血糖となって起こる昏睡で、高齢者がなりやすい。)
糖尿病の人が、他の病気になった状態を「シックデイ」といいます。
私たちの体にとって病気は大きなストレスであり、そのような時にはいろいろなホルモンを出して病気を治癒しようとします。
ストレスで増加するいろいろなホルモンや、食事がとれない、発熱や下痢での脱水症状など、いくつもの要因が血糖上昇の元となります。
そうすると、糖尿病人は、代謝機能が簡単に破綻して、病気が重症化しやすいので、特に注意が必要なのです。
「シックデイ」の基本的な対応としては、次のとおりです。
1.温かく、安静にしましょう。
2.主治医に連絡して、早めに対応しましょう。
特に要注意なのは、「食事がとれない」「下痢・おう吐」「強い腹痛」「高熱」「高血糖が続く」など。
3.必要な検査をして、現状をきちんとチェックしましょう。
「血糖値」「尿ケトン体」「体温」「食事量」「自覚症状」 など。
4.食事や水分、電解質(塩分やカリウムなど)をできるだけとりましょう。
5.女性は、月経周期で血糖値が変化するので、変化のパターンを把握して適切に対処しましょう。
6.他の病院にかかる時は、糖尿病の治療内容のメモ・主治医の連絡先・糖尿病健康手帳を持参し、現状をきちんと話しましょう。
7.出張や旅先で病気になった時のために、「健康保険証」「糖尿病健康手帳」「常備薬」「ブドウ糖」などは忘れずに持参しましょう。
糖尿病の人の数は、最近の調査では、60歳以上の6人に1人という驚くべき数になっています。
また、加齢とともに糖尿病性の合併症が多くなり、いくつもの病気に苦しむ人がたくさんいます。
その他に、高齢者の糖尿病の特徴としては、次のようなものが上げられます。
1.インスリンの効果が加齢とともに低下して、血糖値が高くなる。
2.腎機能の低下で尿糖が血糖値の割に少なく、薬剤の蓄積が起こりやすい。
3.動脈硬化症が、加速度的に進行しやすい。
4.自覚症状が出にくく、異常があっても年のせいにして見落としてしまう。
5.家族への遠慮や諦めなどで、治療への意欲が少なくなる。
6.生活習慣を、なかなか変えられない。
糖尿病の基本的な治療は、高齢者でも若い人と変わらず、よりよいコントロールの維持が大切だということです。
ただ、諸機能が低下していますから、自覚症状が出にくく、異常に気がつきにくいということがあります。
従って血液検査だけでなく、眼底検査や動脈硬化などの検査も定期的に行って、糖尿病を管理することが大切です。
「食事療法」がうまくいかない背景には、「食習慣が変えられない」「食品交換表が使いこなせない」「歯や義歯の問題」などがあります。
「運動療法」も、心肺機能や膝関節などに問題を抱えている場合が多くあります。
さらに、「薬物療法」も、「薬の排泄が遅れる」「病気の数に伴って薬の種類が増える」などの問題も出てきます。
また、高齢者の場合、ちょっとしたことで体調を崩し、シックデイになることが多いものです。
しかし、どのような病気でも、大事に至る前に、軽症のうちに治すことがもっとも大切なことです。
高齢であっても、よいコントロール維持に努めていけば、合併症が進展しないだけでなく、精神的にもよいということです。
高齢者だからとあきらめず、まだたくさんある可能性に向かってどんどん挑戦し、納得のいく人生にしていきたいものですね。